矯正治療の知識About Orthodontics
保定
矯正装置をはずしたあと
あなたの⻭を適切な位置に動かし終わった後、動かすために使⽤していた矯正装置を外していきます。装置が外れると、好きなものを⾷べることができ、⾆もスムーズに動かせます。また、⻭ブラシも思い通りにすることができます。しかし、これで矯正治療が終了したわけではありません。仕上げの、保定という治療が始まります。
⻭がしっかりと新しい位置に順応するまでおさえておく治療
矯正治療直後の⻭は、⾻にしっかりと植⽴しているわけではありません。実際、⻭と⾻は⻭根膜という膜を介し、⻭周靭帯という繊維の束によって⽀えられています。そして、⻭が動くと、⻭周靭帯が新しい位置に順応するためには数ヵ⽉を要します。もしもこの⻭周靭帯が新しい位置に順応していないと、⻭をもとの位置に引っ張り、せっかく動かした⻭の位置が戻ってしまいます。これを防ぎ、新しくなった噛み合わせと美しい笑顔を保ち、そして、今までかけてきたお時間や努⼒、お⾦を無駄にしないためにも、この動かしたものをしっかりと抑えておく治療が必要です。これが「保定」という治療です。矯正治療の成功には、この保定観察がとても⼤切です。
オーダーメイドで作成されたリテーナーという装置を⽤います
リテーナーはブラケット装置除去後すぐに装着されます。ブラケット装置を除去し、⻭⾯に残っている接着剤をきれいに磨き、治療後の成果を治療前と⽐較し、問題がないかを確認するためにレントゲンやお写真の撮影、⻭型と噛み合わせを取った後、リテーナーが装着され、保定観察を開始していきます。
リテーナーの種類
固定式リテーナー
上あごや下あごの⻭の裏側に針⾦を直接細い針⾦を接着するものです。この装置は取り外すことが出来ませんが、⻭の裏側に接着するため、外からは⾒えません。
接着剤周囲に⻭⽯がたまりやすくなるので、定期的なクリーニングが必要です。
もし適切な⻭磨きが難しく、むし⻭や⻭周病のリスクが⾼くなるようでしたら、
取り外しができる装置への変更をご提案することがあります。
可撤式リテーナー
取り外しができるもので、3つのタイプがあります。共通して飲⾷と⻭磨きの時は外していただきます。
そして、使⽤していただいていると、装置がだんだん緩んでくるので、定期的な調整が必要です。
ベッグタイプ リテーナー
上あごに使⽤される、左右の奥⻭から奥⻭までを全体的に抑える装置です。⻭の裏側の⻭茎をプラスチックで覆い、⻭の外側は、⻭をワイヤーで抑えます。
スプリング リテーナー
下あごに使用される前歯を重点的に抑える装置です。左右の犬歯から犬歯の外側と裏側をワイヤーとプラスチックで抑えます。
クリア リテーナー
上あごと下あごのどちらにも使⽤できる薄く透明なプラスチックの装置です。すべての⻭をぴったりと抑え込みますが、前⻭4本のみに短く切って、前⻭のみに使⽤する場合もあります。
この装置の利点は、ワイヤーを使⽤しないので⽬⽴ちづらいことです。しかし、ベッグタイプ リテーナーやスプリング リテーナーと⽐較して少し壊れやすい⽋点があります。そして、この装置は⻭の噛む⾯もすべて覆うため、矯正治療の内容によっては、これにより噛み合わせが多少ずれてしまうケースもあります。噛み合わせに影響が出ると判断した場合はおすすめをしないことがあります。
可撤式リテーナーの装着時間
最初は⾷事と⻭ブラシ以外の終⽇ご使⽤していただきますが、1年後に咬み合わせが安定していたら、就寝時のみ使⽤していただきます。そして、最終的には1週間のうちの数⽇の就寝時のみ使⽤していただき、だんだんと装着時間を少なくしていただきます。