外科的矯正治療Orthodontic Surgery
当院では、提携している病院の口腔外科医とともに
デジタルテクノロジーを用いて分析とシミュレーションを行い、
予測性や安全性、安定性を向上させ、質の高い治療によるよりよい噛み合わせを実現させます。
外科的矯正治療が必要な症状
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症状 01上顎前突
上あごと下あごの骨の位置にズレがあり、上の前歯が下の前歯よりも著しく前にある状態です。
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症状 02下顎前突
上あごと下あごの骨の位置にズレがあり、お顔を横から見たときに下あごが著しく前にある状態です。
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症状 03顔面非対称
お顔の真ん中と上あごもしくは下あごの真ん中が著しくズレている状態です。
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症状 04ガミースマイル
笑ったときに、上あごの歯茎がたくさん見える状態です。
外科的矯正治療の流れ
術前矯正治療(動的治療)
すべての歯にブラケットを装着し、上の歯は上の歯、下の歯は下の歯でそれぞれ適切な位置に並べていきます。
歯を並べる矯正治療は当院にて行い、通常の矯正治療と同様に月1回の来院をしていただきます。
顎離団術(動的治療)
きれいに並べた上あごと下あごの歯が機能的に安定した位置でしっかりと噛み合うように上あごか下あご、
もしくは両方のあごを手術にて適切な位置に動かします。
手術に関しては、提携している病院の口腔外科医が施術を行い、術後は手術の方法によって異なりますが、およそ2週間の入院が必要になります。
術後矯正治療(動的治療)
腫れがおさまり、傷が落ち着いて退院しましたら、再度当院にて上あごと下あごのより緊密な咬合関係を構築するため、
仕上げの歯の移動を行っていきます。この時も来院は月1回になります。
保定観察
適切な噛み合わせになり、ブラケットを外すことになったら、最終的な維持・安定させる治療として、リテーナーを用いた保定が始まります。
保定について詳しくはこちら
実際の治療例
顎変形症非抜歯症例(厚生労働大臣が定める、矯正治療に保険が適応になる疾患)
- 患者さんの訴え
- 前歯でものが噛み切れない。
初診時年齢
19歳8ヵ月
診断
下顎骨の過成長による骨格性反対咬合の症例で、上顎左側第一大臼歯の根尖病巣を伴う
リスク
初診時において下あごの前歯が内側に傾斜しており、また、下あごの前歯を支える骨の前後的な幅が薄かった。矯正治療により下あごの前歯の傾きを改善することで、下あごの前歯の歯槽骨がやせてしまう可能性が考えられた。
また、マルチブラケット装置を装着すると歯磨きが困難になる。これにより、むし歯や歯周病に罹患するリスクが大きくなることが予想された。
治療経過
あごのズレが大きいため、正しい噛み合わせを実現するためには外科的矯正治療が適応であることを患者さんにお伝えし、了承を得たため、外科的矯正治療を行った。手術を行う前に、上あごと下あごの歯を、それぞれのあごに対して適切な位置に動かすことを目的に、マルチブラケット装置を用いて1年8ヵ月の術前矯正を行った。その後、外科手術として下あごに両側SSROを行い、下あごを頭と上あごに対して適切な位置に移動させた。そして、より噛み合わせを緊密化させる目的で1年4ヵ月の術後矯正を行った。その後、上下に取り外しができる保定装置を用いて保定観察を行った。
治療期間
治療上の注意点
- 下あごが大きいことによる骨格的な不調和
- 前歯の浅い噛み合わせ
- 左上の奥歯の根に病巣があり、予後不良
左上の奥歯の根の病巣が大きく、抜歯をせざるを得なかった。幸いにして、その奥に、骨の中にではあったが、親知らずがしっかりとした大きさで存在したため、この歯を利用して左上奥歯の噛み合わせを構築することにした。この親知らずを移動させてくる際に、上あご全体の噛み合わせが崩れないように留意しながら治療をすすめた。あごのズレは大きかったものの、上あご・下あごそれぞれの歯並びの乱れはそこまで大きくなかったため、右上の奥歯の抜歯以外に歯を抜くことなく、下あごの前歯の歯槽骨が吸収しやすいリスクも考慮し、術前・術後矯正治療におけるマルチブラケット装置を装着している期間が出来るだけ短くなるように留意した。これらの結果、機能的に安定した咬合を確立することができた。
また、動的治療中には歯磨きの仕方を定期的に指導することで、口腔内の衛生状態は良好に保つことができた。
Before
After
よくあるご質問
- 1. なぜ外科的矯正治療が必要なのでしょうか?
- 一般的に、あごの成長は女の子の場合は16歳前後、男の子の場合は18歳前後で完了します。この、あごの成長が終了した方で、あごのズレが大きく、歯並びを並べる治療だけでは正しい噛み合わせにするのが困難な場合に外科的矯正治療を行います。手術により上あごと下あごのどちらかもしくは両方を適切な位置に移動させ、歯並びに加えてあごの位置の問題も解決します。
- 2. 外科的矯正治療を受けるにあたってのリスクはありますか?
- 一般的な外科手術と同様のリスクがあります。しかし、あごの手術は決して新しい治療ではなく、年間にたくさんの数が行われているものです。
- 3. 治療費はどのくらいかかりますか?
- 手術を伴う矯正治療の場合、厚生労働大臣が定める疾患に起因する咬合異常*の矯正治療と同様に、健康保険が適用されます。そのため、手術・入院を含めた全体の費用は、3割負担でおよそ60万円から70万円前後です。そして、外科的矯正治療は、高額療養費制度の対象になります。
もし外科的矯正治療についてご質問がございましたらご連絡を下さい。
通常の歯科治療と異なり、手術・入院というとすごく不安になってしまうかもしれませんが、
それを解消できるよう、どんな些細なご質問にもお答えいたします。
厚生労働大臣が定める疾患に起因する咬合異
- 唇顎口蓋裂
- ゴールデンハー症候群(鰓弓異常症を含む。)
- 鎖骨・頭蓋骨異形成
- トリチャーコリンズ症候群
- ピエールロバン症候群
- ダウン症候群
- ラッセルシルバー症候群
- ターナー症候群
- ベックウィズ・ヴィードマン症候群
- ロンベルグ症候群
- 先天性ミオパチー(先天性筋ジストロフィーを含む。)
- 顔面半側肥大症
- エリス・ヴァン・クレベルド症候群
- 軟骨形成不全症
- 外胚葉異形成症
- 神経線維腫症
- 基底細胞母斑症候群
- ヌーナン症候群
- マルファン症候群
- プラダーウィリー症候群
- 顔面裂
- 大理石骨病
- 色素失調症
- 口‐顔‐指症候群
- メービウス症候群
- カブキ症候群
- クリッペル・トレノーネイ・ウェーバー症候群
- ウィリアムズ症候群
- ビンダー症候群
- スティックラー症候群
- 小舌症
- 頭蓋骨癒合症(クルーゾン症候群、尖頭合指症を含む。)
- 骨形成不全症
- 口笛顔貌症候群
- ルビンスタイン-ティビ症候群
- 常染色体欠失症候群
- ラーセン症候群
- 濃化異骨症
- 6歯以上の先天性部分(性)無歯症
- チャージ症候群
- マーシャル症候群
- 成長ホルモン分泌不全性低身長症
- ポリエックス症候群(クラインフェルター症候群)
- リング18症候群
- リンパ管腫
- 全前脳(胞)症
- クラインフェルター症候群
- 偽性低アルドステロン症(ゴードン症候群)
- ソトス症候群
- グリコサミノグリカン代謝障害(ムコ多糖症)