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矯正治療: フッ化の効果について

カテゴリ:T.B.I.

日々の臨床に役立たせるための、矯正治療に関する論文を紹介します。

Modified fluoride toothpaste technique reduces caries in orthodontic patients: A longitudinal, randomized clinical trial.

Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2010 Sep;138(3):285-91. 
Al Mulla AH1, Kharsa SA, Birkhed D.

 

緒言

    矯正治療中の患者さんにとって、どんなに予防処置をしても、その後適切なプラークコントロールがなされないと、脱灰は1ヵ月で生じてしまうと報告されている。
    そして、ブラケット周囲の脱灰のリスクは、エナメル質が弱いことと、ブラッシングに関して協力が得ずらいことから、若年層で高いと言われている。
    矯正治療中の患者さんにおける予防処置についての報告は多数なされているが、本研究ではthe modified fluoride toothpaste technique(MFTT)の効果について検証した。

対象

    100人の矯正治療を受けている患者さんで、これを以下の2群にランダムに振り分けた。
・実験群: 51人(平均年齢: 16.2歳)
    使用する歯磨剤は1,450ppmのフッ素を配合しているもので、MFTTとして、以下のことを言葉と書面の説明にて行った。
– 歯磨剤は1回につき2cm(1g)使用すること
– 上下顎それぞれで歯磨剤を使い分けること
– すべての歯面に関して、2分間かけてブラッシングを行うこと
– 少量のお水にて30秒間ブクブクさせたのち、吐き出す
– これ以上のうがいはしない
– ブラッシング後2時間は飲食を控える
– ブラッシングは毎日、朝と寝る前に行う
– 調査が終了するまで、ほかの歯磨剤は使用しない
・対象群: 49人(平均年齢: 16.9歳)
    実験群と同じ歯磨剤を使用し、通法通りのT.B.I.を受けた。

方法    

    調査開始時と2年後におけるプラーク量の測定、口腔内検査、咬翼法によるレントゲン検査を行った。

結果

・全体的な評価として、70%が2-3回/1日のブラッシングを行い、50%が1g/1回の歯磨剤を使用し、85%以上が歯磨剤以外のフッ化物を使用せず、90%が3-5回/日の食事頻度で、7回以上/日の食事頻度は6%であった。   
    また、対象群において、8%が歯磨剤に加えて不定期にフッ化物配合洗口剤を使用しており、6%がフッ化物を使用していなかった。
・対象群と比較して、実験群ではプラーク量が有意に減少していた。
・調査開始から調査終了までのむし歯治療の経験歯数が対象群に比較して実験群では、視診、レントゲン診、視診とレントゲン診の組み合わせでそれぞれ87%、78%、83%に減少していた。

考察

・矯正治療中の患者さんのプラークコントロールにおいて、通常のT.B.I.と比較してMFTTはより効果的にむし歯を予防することができることが明らかになった。
・MFTTの目的は口腔内でのフッ素濃度と停滞時間の増加であり、歯磨剤をすぐにゆすぐのではなく口腔内全体にいきわたらせることで、フッ素濃度がより高くなるのである。
・通常の歯の定期検診は8-12週に1度だが、矯正科医はそれよりも頻回に患者さんと会うことができる。
    そのため、フッ素の重要性について説明できる機会がたくさんあるのである。
・MFTTは非常に有効な方法だが、いくつかの注意点について説明する必要がある。
    それは、歯磨剤が口腔内に残ることで、不快感や口腔粘膜に対する多少の刺激が生じることである。
しかしながら、本研究においてそのような合併症を訴える患者さんは認められなかった。
・歯磨剤の5-10%は飲み込んでしまうが、毒物学的に無視できるほどの量である。

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