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第62回 北海道矯正歯科学会学術大会に参加しました。

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以下の3名の先生の公園を拝聴し、勉強をさせていただきました。

「変形性顎関節症および突発性下顎頭吸収に対する歯科矯正学的対応」
徳島大学大学院医歯薬学研究部 口腔顎顔面矯正学分野 
教授 田中栄二先生

・集団の25%が顎関節症を有しており、そのうちの3-4%に治療が必要である。
 また、この70%においては間接円板転位が原因である。

・矯正治療を行う患者さんのうち、開咬と交叉咬合を有する患者さんでは顎関節症のリスクが高い。

・画像診断
レントゲン- Ⅳ型: 変形性関節症
MRI- III型: 間接円板障害
咀嚼筋・顎関節部触診- I型: 咀嚼筋障害
           II型: 関節包・靭帯障害
           V型: I-IV型のいずれにも該当しないもの

・変形性膝関節症に対する矯正的なアプローチ
I型: 薬物療法
II型: 薬物療法、遠赤外線療法
III型: スプリント療法、薬物療法、マニュピュレーション療法
IV型: 矯正治療+最小限の外科的処置(顎離団術)
・変形性顎関節症に対する顎離断術(下顎の前方移動など)は、あまり良い状況ではないという報告の方が多い。
 → ただでさえ間接円板が前方転位しており、下顎の前方移動を行うことで近位骨片がさらに上方に押し上げられ、間接円板の前方転位をさらに助長してしまう。
・変形性顎関節症に継発する開咬に対する矯正治療
目標- 安定した咬合状態の確立と顎関節負荷の軽減。
方策- 矯正用アンカースクリューを用いて大臼歯部を圧下し、下顎の反時計回りの回転をさせる(下顎の時計回り回転を防ぐため、顎間ゴムは多用しない)。
顎離団術による上顎臼歯部のインパクションを行うことでも矯正用アンカースクリューを用いた場合と同じ効果がみられるが、外科的な侵襲が顎関節に対してどのような影響があるかは、いまだに明らかではない。
開始時期- 診断用スプリントにより、全歯での接触状態と機能的な下顎限界運動を再現し、症状の軽減と病態の進行の停止が確認されたとき。

・特発性下顎頭吸収(ICR/PCR)
原因は不明だが、10代の女子に多くみられ、女性の顎関節にはエストロゲン受容体が存在し、エストロゲンは関節組織に負の影響を与える可能性がある。
また、Class II+開咬症例に対して外科的矯正治療による下顎の前方移動術を行った場合もリスクが上昇する可能性がある。
画像診断では、下顎頭内外側幅、下顎頭の高さ、下顎頭長軸角が有意に減少しており、下顎頭の形態は後方へ彎曲しているタイプに多く認められた。
有効な治療法はいまだにないが、変形性顎関節症と同様に、できるだけ下顎の反時計回りの回転により開咬の改善を行う。
・特発性下顎頭吸収の進行が収まったことに確認法。
明確なものはないが、画像診断により皮質の連続性が確認できることと、好発年齢が12-16歳であることから、しっかりと成長の終了を待つ(16歳以降)ことが大切である。

・大臼歯圧下を行った治療の後戻りに対する防止策
マルチブラケット装置撤去前3-4か月間、矯正用アンカースクリューとアーチワイヤーを結紮線で結んでおく。

「顎関節症と鑑別を有する疾患の画像診断」
北海道医療大学歯学部生体機能・病態学系歯科放射線学分野 
教授 中山英二先生

・筋突起が過長である場合、開咬を呈することがあるが、開咬により筋突起が過長になることもある。

・CTにより、下顎頭周囲に砂粒状の透過像を認める場合、滑膜骨軟骨腫症であることが疑われる。

・顎関節疾患との鑑別診断
軟性開口障害(自主開口から、術者による強制開口を行うことでさらなる開口がなされる)
→ 顎関節症
硬性開口障害(自主開口域と強制開口域がほぼ同じ)
→ その他の顎関節疾患を疑う

「クローズドロックに継発する前歯部開咬への臨床対応」
北海道大学大学院歯学研究院口腔機能学講座冠橋義歯補綴学教室 
教授 山口泰彦先生

・間接円板の前方転位による開口障害(クローズドロック)語の前歯部開咬の特徴
クローズドロック慢性期で、間接円板が前方転位のまま開口障害が改善傾向にある時期に生じやすいい。
また、前歯部だけでなく最後臼歯を除く臼歯部にかけても起こり、臼歯部では反対側臼歯部の接触がより少なくなる。

・クローズドロック後の開咬への対応
咀嚼習癖による悪循環の遮断
– 咀嚼部位指導
– ガーゼ噛み訓練
– 暫間レジンシェル装着
– 観測下顎頭の可動化訓練
スプリントへの配慮
– スタビライゼーション型スプリントの中止
– スプリントの継続が必要なら、臼歯部圧痕、前歯部舌側ランプ付きスプリント(上顎のスプリントの下顎前歯部舌側面にランプを付与し、下顎が後方に移動しないようにする)の使用
復位の復元
– ピボット運動訓練
– 顎間ゴム付き上下顎スプリントの使用
歯列、顎形態への介入
– 咬合調整、補綴、歯列矯正、外科的矯正治療

・クローズドロック初期にマニュピュレーション等を行うことで開咬の惹起を防止することができる。

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