日々の臨床に役立たせるための、矯正治療に関する論文を紹介します。
Initial changes of centres of rotation of the anterior segment in response to horizontal forces.
Eur J Orthod. 2006 Oct;28(5):471-4.
Choy K, Kim KH, Burstone CJ.
目的
本研究では、上顎6前歯の遠心移動における回転中心の位置を、in vitroにて調査した。
実験方法
用いた舌側への水平力は200gで、力をかけるポイントは、切縁から1.0mmずつ上方に、28.0mmまでとした。
結果
・上顎6前歯の抵抗中心の位置は、垂直的には歯槽頂より4.5mm上方で、切縁より14.5mm上方であった。
これは、犬歯の歯根長に対して、歯槽頂から30%上方であった。
そして、一般的に犬歯のブラケットより9.5mm上方の位置である。
また、前後的には中切歯切縁より9.5mm遠心であった。
・回転中心は、力の作用点が変化するごとにその位置が変わっていた。具体的には、Y軸から14.5°の
直線状であった。
まとめ
前歯部をen Massで考えた場合、単根歯と比較して、遠心移動の際に傾斜はしづらく、
わずかな圧下力が加わる可能性が示唆された。