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矯正治療

カテゴリ:Merit

日々の臨床に役立たせるための、矯正治療に関する論文を紹介します。

Dental crowding as a caries risk factor: a systematic review.

Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2012 Oct;142(4):443-50. 

Hafez HS, Shaarawy SM, Al-Sakiti AA, Mostafa YA.

 

緒言

 叢生の程度は、歯と歯槽基底の大きさのバランス、歯の傾斜やトルク、隣接面の摩耗、Over jet、歯の近心移動などに影響される。
 一方で、重症なむし歯は、大人よりも子供や青年期に多くみられる。
また、むし歯の程度は口腔内環境における唾液の質、pH、唾液量、歯の形態的特徴、エナメル質の構造と質、口腔内の常在細菌数、食生活、全身疾患、遺伝的な感受性や免疫力などの要因がある。
 叢生のある箇所は食物残差やプラークが停滞しやすく、むし歯の原因になり得ると言われている。
 そこで、本研究では、叢生とむし歯の相関関係について、1950-2011年までの有効な文献を検証し、評価した。


結果

 最初に選択した6914個の論文のうち、今回設けた評価基準を達成していた論文は8個であったが、いずれの論文も、その質は低度から中等度であった。
 そのうちの4個の論文で、叢生とむし歯との間に正の相関関係が認められないと報告されており、2個の論文で関係性は薄いと報告されていた。
そして、1個の論文で強い正の相関関係があると報告され、残りの1個の論文で下顎前歯部では正の相関関係が認められるが、上顎臼歯部では相関関係が認められないと報告されていた。


考察およびまとめ

 今回調べた文献では、n数が少ない、観察期間(WHOによると、最低5-6年の長期観察が必要)が短い、叢生とむし歯との間の相関関係についての評価法に厳密な規定がなされているものがないなどの問題が認められ、質の高い文献が認められなかった。
 そのため、叢生とむし歯の関係性を調査するには、これらの基準を満たす、質の高いさらなる研究が必要である可能性が示唆された。

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