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矯正治療; 歯間ブラシの効果について

カテゴリ:T.B.I.

日々の臨床に役立たせるための、矯正治療に関する論文を紹介します。

 

Interspace/interdental brushes for oral hygiene in orthodontic patients with fixed appliances.

Cochrane Database Syst Rev. 2007 Jul 18;(3).
Goh HH.

 

緒言

 歯の崩壊は、歯の組織の脱灰より開始する。
 早期の脱灰部分は「白斑」と呼ばれ、この状態は可逆的だが、歯の表面の審美的な障害を引き起こす。
そして、これを放置すると実質欠損が生じ、歯の崩壊へと進行して行ってしまう。
 そこで、本研究では、日常の歯磨きの際に歯間ブラシを併用することの効果について、これまでの論文を検証した。

対象

 文献は、2006年1月までのCochrane Oral Health Group’s Trials Register、CENTRAL、MEDLINE、EMBASE、CINAHLの中から抽出し、以下の選択基準を設けた。
・Randomized controlled trialであること。
・マルチブラケット装置を装着していること。
・歯磨きを行うにあたって不器用ではないこと。
・プラーク量、歯肉と脱灰能状況について評価しているもの。

結果

・調査した論文の中に、今回採択した選択基準を満たしているものは認められなかった。

まとめ

 本研究における臨床的な見地から、日常の歯磨きにおいて、通常の歯ブラシに加えて歯間ブラシを使用することにあまり大きな効果はみられない結果であった。
 歯間ブラシは高価なものであり、矯正治療中ではただでさえの歯間ブラシと通常の歯ブラシの毛先の摩耗が増加してしまい、2週間ごとに歯ブラシを交換させなくてはならない。
そのため、この2つの歯ブラシの併用により費用が3倍以上かかる計算になり、患者さんにとって経済的な負担が増加してしまう可能性が示唆された。

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