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中学生・高校生でのアライナー型矯正装置について

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中学生と高校生に特化したアライナー型矯正装置を用いた治療のWebセミナーを受講しました。

【概要】
演者:とき矯正歯科 土岐 泰弘 先生
演題: 「10代患者が望む治療への回答」

Invisalign teen

10代の患者さんが希望する治療法
・矯正装置を毎日つけたくない
・痛くない
・面倒なのは嫌だ
・出来るだけ早く終わりたい

この年代にInvisalignを用いるうえでの術者側が考慮すべき点
・側方歯群交換期の対応
・思春期成長への対応 (特に下顎の成長)
・患者協力性の不安

 → アライナー型矯正装置ではなく、マルチブラケット装置を用いる場合は、側方歯群交換期や成長完了後のブラケット装着やブラッシング指導を行う。

 → Invisalignを用いる利点は、後継永久歯萌出スペースの確保をすることが出来たり、装置を作り替える場合は再印象を行うだけでよいので患者さんの負担やチェアタイムの短縮につながる。
また、以下のような利点が挙げられる。
・生活(運動や音楽演奏など)に制限が少ない
・食事制限がない
・ブラッシングが容易
・審美性の優位
・心身ともに矯正装置による消極的な生活からの回避

Invisalignによる治療における工夫点
・側方歯群交換期の対応
 → Leeway spaceを利用し、乳歯にI.P.R.を行うことで叢生を解消するスペースをつくることが可能である。また、上顎前歯部舌側にバイトランプを設置することにより、乳歯が抜けて臼歯部の咬合が不安定になった際でも前歯部での咬合を付与することができる。
 治療開始時と比較して経年的に萌出量が変化していく第二大臼歯について、その配列を注意深く観察していく必要がある。
具体的には、萌出中の第二大臼歯をアライナーで覆わない場合、それより前の臼歯部での上下顎のアライナーの厚み分(0.7-8mm)だけ第二大臼歯が過剰萌出してしまい、早期接触の原因になり得る。
干渉していないかどうかチェックする場合は、必ずアライナーを外した状態で行い必要であれば、第二大臼歯の過剰萌出を防ぐ目的でTerminal molar tabsを付与する。

・思春期成長への対応 (特に下顎の成長)
 → 上下顎の歯並びの改善を行い、その後保定観察によって成長完了を待って、再度最終的な咬合を付与するために動的治療を行う。

・患者協力性の不安
 → Compliance Indicatorを用い、装着時間に応じて色が変化するようにデザインすることで、おおよそのアライナーの装着時間を確認することが可能である。

患者さんの状態によっては、有効な治療法の選択肢の1つとしてご提案をしていきたいと思います。

 

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