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矯正治療

カテゴリ:Normal Occlusion

日々の臨床に役立たせるための、矯正治療に関する論文を紹介します。

 

Objective grading system for dental casts and panoramic radiographs. American Board of Orthodontics.

Am J Orthod Dentofacial Orthop. 1998 Nov;114(5):589-99.
Casko JS, Vaden JL, Kokich VG, Damone J, James RD, Cangialosi TJ, Riolo ML, Owens SE Jr, Bills ED.

 

American Board of Orthodonticsにおける、術後の模型とオルソを用いた治療の評価法について、以下に箇条書きにて示す。

・Alignment
1歯ずつの正常なAlignmentに対する評価である。
前歯部において、上顎前歯部切縁と舌側面、下顎前歯部切縁と唇側面を評価の対象にする。
この部位は、これらの歯の機能的な役割を果たすだけでなく、審美的にも影響を与える。
臼歯部において、上顎小臼歯、大臼歯の中心溝と下顎小臼歯、大臼歯の頬側咬頭を評価の対象にする。
この部位は互いに噛み合う部位であり、機能的な役割を果たす。
これらについて、ほとんどの位置の不正は上下顎側切歯と第二大臼歯に認められる。
 - それぞれの歯に対して評価し、加点していく。
0: 0.50mm以内のズレ、1: 0.05-1.0mm以内のズレ、2: 1.0mm以上のズレ

・Marginal Ridge
辺縁隆線に対する評価である。
両隣接歯に辺縁隆線を合わせることが正常である。
もしこれが達成されれば、CEJも両隣接歯とその高さが合う。
そして、辺縁隆線が合うことで、対合との正常なコンタクトがなされる。
これについて、ほとんどの不正は上顎第一-第二大臼歯間に認められ、次に多いのが下顎第一-第二大臼歯間である。
 - それぞれの歯に対して評価し、加点していく。
0: 0.50mm以内のズレ、1: 0.05-1.0mm以内のズレ、2: 1.0mm以上のズレ

・Buccolingual Inclination
大臼歯のトルクに対する評価である。
上顎に関しては頬側咬頭に対して口蓋側咬頭が、下顎に関しては舌側咬頭に対して頬側咬頭が1.0mm高位にあるのが正常である。
これの不正は、上下顎第二大臼歯に認められやすい。
 - それぞれの歯に対して評価し、加点していく。
0: 1.0mm以内のズレ、1: 1.0-2.0mm以内のズレ、2: 2.0mm以上のズレ

・Occlusal Relationship
上下顎臼歯部の前後的位置関係(Angle分類)に対する評価である。
上顎犬歯、小臼歯、大臼歯は対合する下顎の上部鼓形空隙と1mm以内で咬合させることが正常である。
また、上顎第一大臼歯近心頬側咬頭は1mmの範囲内で下顎第一大臼歯の中心溝と咬合させることが正常である。
 - それぞれの歯に対して評価し、加点していく。
0: 0.50mm以内のズレ、1: 0.05-1.0mm以内のズレ、2: 1.0mm以上のズレ
ちなみに、Class II Finishの場合、上顎第一大臼歯近心頬側咬頭は下顎第二小臼歯と第一大臼歯との間の鼓形空隙と咬合し、Class III Finishの場合、上顎第二小臼歯は下顎第一大臼歯中心溝と咬合する。

・Occlusal Contact
臼歯部の咬合に対する評価である。
機能咬頭(上顎小臼歯、大臼歯の口蓋側咬頭と下顎小臼歯、大臼歯の頬側咬頭)が評価の対象である。
上下顎小臼歯(上顎: 舌側咬頭、下顎: 頬側咬頭)は機能咬頭が1つずつあり、下顎大臼歯は頬側咬頭の機能咬頭が2つだが、上顎大臼歯は近心口蓋側咬頭の1つだけである。
遠心口蓋側咬頭については、そのサイズが小さいため、評価の対象にはしない。
 - それぞれの歯に対して評価し、加点していく。
0: 機能咬頭が対合と咬合している、1: 機能咬頭が対合と1mm以内の距離にある、2: 機能咬頭が対合と1mm以上の距離にある

・Over jet
臼歯部の水平方向に対する評価と前歯部の前後方向に対する評価である。
臼歯部においては、上顎口蓋側咬頭と下顎頬側咬頭が、対合する上下顎中心溝と適切に咬合しているか評価する。
前歯部は、下顎前歯切縁が上顎前歯舌面とコンタクトしているか評価する。
これらについて、ほとんどの不正は前歯部と第二大臼歯に認められやすい。
 - それぞれの歯に対して評価し、加点していく。
0: 適切に咬合している、1: 1.0mm以内のズレ、2: 1.0mm以上のズレ

・Interproximal Contacts
隣接面の空隙に対しての評価である。
歯列内にスペースがあってはいけない。
 - それぞれの歯に対して評価し、加点していく。
0: スペースが認められない、1: 1.0mm以内のスペース、2: 1.0mm以上のスペース

・Root Angulation
歯根の平行性と咬合平面に対しての垂直性の評価である。
オルソが完璧な評価法ではないが、これを評価するのには最適な方法と考えられる。歯が適切な角度であれば、隣接歯の歯根間に十分な骨が存在することになる。
これは非常に重要なことで、もしもここに骨がなく、患者さんが歯周病に罹患していれば、歯槽骨の吸収を生じる可能性ある。
これについて、不正が生じやすいのは上顎側切歯、犬歯、第二小臼歯と下顎第一小臼歯である。
 - それぞれの歯に対して評価し、加点していく。
0: 1.0mm以内のズレ、1: 1.0-2.0mm以内のズレ、2: 2.0mm以上のズレ

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