院長ブログBlog

矯正治療

カテゴリ:Surgery

日々の臨床に役立たせるための、矯正治療に関する論文を紹介します。

 

Long-term stability of surgical mandibular setback.

Angle Orthod. 2007 Sep;77(5):851-6.
Cho HJ1.

緒言

 筆者の個人的な感覚として、外科的矯正治療における後戻りに関して、術直後2ヵ月以内に最も多く認められると考えられる。
 また、舌と後戻りとの関係において、手術後の空隙閉鎖は、舌の力による下顎の後戻りを生じさせる可能性がり、また、上顎のAdvanceは舌のスペースを確保するのに有効な治療である。
 下顎のSetback後の安定性について部分的な舌切除術を行った研究では、舌骨と舌は手術後の下顎の新しい位置に順応するが、術後1年の比較において舌切除術を行った群と行わなかった群とでは下顎前歯の水平的もしくは垂直的な位置に有意差は認められなかったと報告している。
 そこで、本研究の目的は、手術による近位骨片の位置の変化と術後矯正治療中の下顎の後戻りについての関係性を調査することである。

 

対象

・Skeletal Class IIIで両側SSROを受けた患者さん34人

 

実験方法

・手術直前(T2)、手術直後(T3)、矯正治療終了時(T4)にてそれぞれセファロを撮影し、前頭蓋底の重ね合わせによる下顎枝の傾斜とPogの位置の変化を評価した。

 

結果

・T2-T3における近位骨片の下顎枝後縁の変化は、T3-T4のPogの変化と有意な相関関係が認められた。
・T2-T3における近位骨片の下顎枝後縁の角度の変化は、T3-T4の後戻りによる近位骨片の下顎枝後縁の角度の変化と有意な相関関係が認められた。

 

考察

・Class IIIで、顎離団術による下顎のSetbackの際、固定時に近位骨片を後ろに押し付けてしまうことがしばしば見受けられる。これが一番大きな後戻りの要因であると考えられる。
これとは逆に、まれに骨片固定時に近位骨片を前方に移動させてしまうことがある。この場合は、下顎の後方への後戻りが認められる。
・患者さんの術前の近位骨片と周囲組織との関係性は、呼吸、咀嚼、嚥下、発音などの顎口腔系のシステムを担っているため、非常に重要である。
そのため、もしも治療を通して近位骨片の位置が変化すれば、強い後戻りの力が生じてしまい、術後矯正治療による遠位骨片にも後戻りが認められるのである。

 

まとめ

・顎離団術においては、近位骨片をいかに術前の状態に維持させるかが非常に重要である。
骨片固定時に近位骨片の位置付けに変化を生じた場合、近位骨片は術前の方向に後戻りする傾向がある可能性が示唆された。

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