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矯正治療

カテゴリ:1st Phase

日々の臨床に役立たせるための、矯正治療に関する論文を紹介します。

 

One Phase versus Two Phase Treatment in Mixed Dentition: A Critical Review.

J Int Oral Health. 2015 Aug;7(8):144-7.
Suresh M, Ratnaditya A, Kattimani VS, Karpe S.

 

緒言

この論文では、永久歯列交換期から開始するI期治療についてのシステマティック レビューを行った。

結果

・I期治療の目的は、永久歯萌出完了期までに顎顔面部の骨格、歯と歯槽骨、筋肉のアンバランスを改善することである。
・I期治療の最適なタイミングは、永久歯交換前期の、上顎側切歯萌出完了時である。
・矯正治療のゴールは、「審美的に優れ、機能的に安定した正常咬合を獲得すること」である。
・Class IIにおける永久歯列交換前期での治療のメリットは、II期治療における抜歯の可能性の減少、歯根吸収の可能性の減少、永久歯の異所性萌出の可能性の減少、患者さんの協力度の増加、外科的矯正治療の必要性の減少である。
・多施設Randomized Controlled Trialにおいて、8-10歳のClass II div.1 caseにおいて、機能的矯正装置を用いた実験群と、実験群に年齢と性別を合わせた、治療を行わなかった対照群との比較によって治療効果の検証を行った研究では、実験群では、より自己満足度が高かったと報告されている。
しかし、ほとんどの矯正科医は、永久歯列萌出完了までは治療を待つべきであると考えている。
・I期治療を行うことに否定的な考え方として、I期治療によるメリットが少ないと考えている。
成長期における90%の患者さんはII期治療のみで治療が成功し、交叉咬合やClass IIIなどの症状の残り10%の患者さんにのみI期治療を行うメリットがあり、Class IIの患者さんにI期治療を経てII期治療を行うことで、患者さんの協力度が減少し、治療期間は延長してしまうと主張している。
また、Class IIの患者さんに対してI期治療を行い、患者さんの満足度と認知度を調査した研究では、治療後に患者さんの満足度と治療効果についての認識は得られなかったとの報告もされている。
また、≧7mmの重度Class IIの患者差にについて、I期治療の後にII期治療を行った群と、II期治療のみを行った群の比較では、II期治療終了時の咬合において有意な差は認められなかったと報告されている。
そして、I期治療を行うことは、治療期間が相対的に長くなるため非効率であり、かつ、II期治療の内容を容易にするものではないと言われている。
また、PARスコアに関してもII期治療のみの方が高かった。

まとめ

混合歯列期における適切な診断と治療計画の立案がより効果的な治療効果をもたらすといえる。
そして、治療開始時期においては、「遅すぎるよりは早すぎる方が良い」ということを心掛けるべきである。

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