院長ブログBlog

矯正治療

カテゴリ:Camouflage Treatment

日々の臨床に役立たせるための、矯正治療に関する論文を紹介します。

Limitations in Orthopedic and Camouflage Treatment for Class III Malocclusion

Hyoung SeonBaik

 

 Skeletal ClassIIIでは、骨格の前後的・水平的・垂直的不調和とDentoalveolar compensationが認められる。
 その治療法としては、患者さんの年齢や不正咬合の状態や重症度により顎整形力、矯正治療単独によるカモフラージュ治療、外科的矯正治療などが挙げられる。
 
 顎整形力による成長のコントロールにおいて、より早期での治療が効果的であるとの報告がなされており、混合歯列前期(中切歯と第一大臼歯萌出期)に行うことが推奨されている。
 使用する装置として、チンキャップについては、下顎の過成長が認められる場合、装置を使用している期間は効果が認められるが、下顎のCatch-up growthにより、長期安定性に欠けると報告されている。
 また、チンキャップは骨格的な要因が軽度の患者さんや、機能的装置の補助装置として使用するのが良いとの報告もなされている。
 チンキャップの作用機序としては、下顎の時計回りの回転と下顎前歯の舌側傾斜であり、適応症は、下顎の機能的な前方位と軽度Skeletal ClassIIIである。
そのため、下顎骨の過成長が認められる患者さん治療計画は、将来的な外科的矯正治療も視野に入れた、慎重な治療計画の立案が必要である。

 上顎急速拡大装置の作用機序として、A点の前下方の移動が認められ、また、下顎の時計回りの回転を惹起することによる下顎下縁平面の急傾斜が挙げられる。

 フェイスマスクは、上顎の前下方への成長を促進し、上顎を一塊にすることでよりこの効果が有効になる。
 上顎を一塊にする方法として、唇舌側的な固定式装置や可撤式装置、ブラケット装置に硬いワイヤーを用いる方法などが挙げられる。
 しかしながら、急速拡大装置を併用するのはもっとも一般的で効果的な方法である。
急速拡大装置により正中口蓋縫合を離開させた後にフェイスマスクを使用することで、急速拡大装置を用いずにホールディング アーチを併用した群よりも、よりA点の前方位が認められたとの報告もなされている。
 一方、57人の患者さんにフェイスマスクを使用した後、マルチブラケット装置を用いて治療を行い、5.9年間の経過観察を行い、ANB 2°≧とANB 1°≦の2群に分けてフェイスマスクの効果を検証した実験では、両群ともにA点の位置に有意な変化は認められず、ANB 1°≦の群の大きな要因は、下顎のLate growthであったとの報告もなされている。

 フレンケル装置(Type III)は、1960年にフレンケルがアクチベーターを改良して開発した成長抑制装置である。
 フレンケルは、リップパットとバッカル シールドにより骨膜が伸展され、上顎の前方成長が刺激されると述べている。
 しかしながら、その後の研究により、FR-IIIの主な効果は下顎の時計回りの回転と下顎前歯の舌側傾斜によるもので、上顎の成長にはほとんど効果がないと報告されている。
 
 矯正治療単独のカモフラージュ治療は、成長が終了した軽度Skeletal ClassIIIでLow angleの患者さんが適応になる。
 小臼歯や下顎前歯、下顎第二大臼歯などの抜歯とMEAWテクニックにより下顎臼歯部を遠心傾斜させるか、もしくは矯正用インプラントにより下顎歯列弓の遠心移動を行う方法がある。
 また、下顎小臼歯の抜歯によるカモフラージュ治療を行う場合、下顎前歯の遠心移動の際、オトガイは前方にあり、側貌はConcaveのため、審美的な改善は見込めないことに注意するべきである。
 そして、下顎単独抜歯の場合、臼歯関係が「Super ClassIII」となり、上顎第二大臼歯が廃用歯になる場合があるため、注意が必要である。
この場合は、下顎第三大臼歯がある場合の下顎第二大臼歯の抜歯や、Bolton分析に不調和を認める場合のThree incisorなども考慮する必要がある。
 しかしながら、重度Skeletal ClassIIIや下顎の過成長を認める場合、審美的かつ機能的改善のため、外科的矯正治療が第一選択になる。

 外科的矯正治療かカモフラージュ治療かを見極めるポイントとしては、骨格的な不調和の程度、Facial pattern、Nasolabial angle、顎態、歯周組織の状態、治療後の咬合や審美的変化の予測、下顎の成長の有無などが重要である。

To the Top